『バタン!!パアァーン!!!』
突然後ろの襖が倒れたと思ったら、すぐさま銃声が鳴り響いた。
目の前の影山は下を向いていて、顔から一滴ぽたりと血が落ち、畳に赤い染みを作った。
どうやら銃弾が頬を掠ったようだ。
恐る恐る後ろを振り向くと、やっぱり予想通りの仏頂面があった。
「大和…っ……!!」
「…おう、生きてたかよ……」
そう言ってニッと少し笑った後、すぐに真剣な眼差しでギロリと影山を睨み、銃を構えなおした。
「…龍斗……うちのが世話になったな………」
「…随分遅かったね、大和…。……疾風ちゃんを本気で俺のものにしたくなるまでには…十分すぎる時間だったよ…?」
2人が呼び捨てで呼び合っている事にも驚いたけれど、影山がその言葉の後、大和に気を取られていた私を背後から抱きしめたことの方が驚いた。
驚きと恐怖と怒りで固まってしまった私をみて、大和は銃を構えながらくすりと笑った。
「ちょっと……!笑ってないで助けなさいよっ!!」
「いや……お前がビビってるなんて見物だな」
あんたは私を助けに来たんじゃねーのか!!!
と一喝してやりたかったけど、それは家に帰ってからたっぷりとすることにしよう。
影山から逃れようと身をよじるが、蛇のように腕ごと絡みつかれ、その上血が止まりそうなほど力が強い。
逃げようとすればするほどその力は強くなってゆく。
「くっ…!や…まと!!」
「わかってるよ…動くな。」
影山は私を盾にしながらくすくすと笑う。
「撃てるなら撃ってみなよ。大事な大事な疾風ちゃんに当たっちゃったらどうする……?」

