「…っ…!?」
影山の顔に足が当たる寸前で、足をぴたりと止めた。
いや、正確に言うと勢いが良すぎて止まりきらなかったのだが、そんなことはどうでもいい。
コイツ、いつナイフ出したの……?
つぅ…と足の掠り傷から血が伝う。
蹴られることを予測して、影山は顔より少し前の位置にナイフを出していた。
その動作が早すぎて、よく見えなかった。
気づかずに勢いよく蹴っていたらどうなってたか……
想像もしたくない。
「…痛い?……俺に抵抗しない方がいい…………」
止めていた足をがしりと掴まれ、血を伝うようにぺろりと舐めあげられ、傷口をちゅっと吸われた。
その瞬間頭にカッと血が昇り、足を思い切り引き抜いた。
足を床に付けた瞬間傷口にじわりと痛みが広がる。
「逃げちゃだめだよ……」
じりじりとナイフに付いた血を舐めながら影山が近付いてくる。
その様子に少しの不気味さを覚え、肌が粟立つ。
「っ来るな!!!」
「…怖がってる顔も綺麗だね…………」