お爺ちゃんが病院に戻り、大勢の組の人達も各々帰り始めていた。
私は大和と2人、大和の部屋にいた。
自分の部屋にはまだ、なんとなく戻りたくなかった。
「………お爺ちゃんは、どうして私にあんなこと聞いたの?」
顔を上げずに大和に問う。
「それは……お前が考えろ」
予想通りの答えが帰ってきて、背中がずんと重くなった気がした。
「…って…言いたいところだが…今のお前にはまだ、難しすぎるよな……。」
ゆっくりと顔を上げると、いつもの仏頂面が何故か優しく感じた。
「………そんな顔すんな」
ゆっくりと髪を透かれる。
心地よい手に頭を預けると、大和が諭すように語りかけてくる。
「………人を殺していいのは………殺される覚悟のある奴だけだ。…当然お前を殺そうとやってくる奴らも、殺される覚悟で来る。
そのときに、お前は人を殺してでも、生き抜く覚悟はあるのか?」
殺す覚悟は、生きる覚悟。
お爺ちゃんは、そう言っていたんだ。
…………私は……