次の日、私は目覚ましでも太郎の声でも大和の声でもなく、自分で目が覚めた。
ひさしぶりにぐっすりと眠れたので、とてもすっきりした。
なんだか沢山寝たような気がするけど、まだ目覚ましは鳴っていないからいつもより早い時間に起きたのかな?なんて思いながら目覚ましを覗いた。
PM13:09
……
…………え?
なにこれ?壊れてるの?
大体こんな時間まで誰も起こしにこないなんておかしい。
あれ?今日は学校休み?とも考えたけれど、今日はしっかり木曜日で、祝日でもなんでもない。
混乱したままばたばたと太郎の部屋の襖を勢い良く開けても、誰もいない。
それどころか、家の中が人一人いないように静まり返っている。
1人も人がいないなんてあり得ない。絶対誰かいるはずだ。
そう思いながら大広間の前を通りがかると、急に大きな声で呼ばれてびっくりした。
「おい疾風か!起きたんならこっちに来い」
この声はお父さんだ。遅刻したことを怒られるのかとびくびくしながら大広間の襖を開けた。
そこには、いつも夕食のときに集まる人数が比じゃないくらいの人数の人達が全員正座で綺麗に並んで座っていた。
「疾風、ここに座れ」
お父さんに指図されたように、恐る恐る隣に座る。
……どうやら虎沢組のほとんどが集まっているらしい。
そこかしこには見知った顔がちらほらある。
そして、目の前には病院にいるはずのお爺ちゃんがいた。
「おぅ疾風……でかくなったな…」
「お爺ちゃん…どうして…」
お爺ちゃんが家にいるなんて、何年ぶりのことだろう。
私はまだ、この状況が掴めないままでいた。

