極道娘の悩み事。




その後はせっかくの土日だって言うのに、行儀作法だの立ち振る舞いなどの鬼のような修行をばしばし叩き込まされた。




「オラ何回言わせんだ!左手で持ち上げるんだよ!!」




「うっ…うっ……疾風さん…!太郎は…太郎はっ…お力になることができなくて情けのうございます…っ!!」




……たまに背中に視線を感じながら、正座の仕方、箸を机から持ち上げる手順など、基礎の基礎からみっちりと教わった。




「はあぁぁぁあぁ」




まさか日本の女の子全員これを常識として覚えてるんじゃ無いだろうな。




そしたらたまったもんじゃない。
 



常日頃から学校の授業の数式やら何やらを無理やり詰め込んでいる頭はもはやショート寸前だ。




「もー無理」




「まだ基礎の基礎の基礎しかやってねーからな」





「うわ!なんだもー勝手に部屋入んなよ!!」




ぱっと横を見やると大和が仁王立ちしていた。




「てかあんたは私に対して敬語なのか生意気な口聞くのかどっちかにしなさいよ。てか敬語使え。」




「親父さんの前にいるときと、お前が立派な女性になれたら敬語使ってやるよ。」




「…つまりお父さんの前で以外使う気ないんだ?」




「まぁな…で、言っとくけど明日もちゃんと朝起きろよ。明日は朝から茶道叩き込むからな。」





「はぁ…もーいい。」




どうせ私に決定権はないんだ。



いつだって全部大人たちがさっさと決めてしまう。






(あーあ…早く大人になりたい…)