しばらくそのおじさんを観察していると、おじさんは選んだ本の中から一冊だけを鞄に入れた。



「龍牙、今鞄に入れたよ!」


「あぁ、アイツで間違いねぇな……千愛実、ここで待ってろ」



やだ!!

だって男の子達がいるのに!!



って思ったら、男の子達はすでに何処かに行っていた。


……なんだ、いないじゃん!




「分かった」



私がそう返事をしたのを確認すると、龍牙はそのおじさんに近寄っていった。



大丈夫かな……。



少しドキドキしながらその様子を見ていると、龍牙に問い詰められたおじさんが抵抗して手を振り上げた。


危ないっ、殴られちゃうっ……。



と、思ったんだけど、心配はいらなかった。


龍牙はおじさんの拳を片手でいとも簡単に受け止めると、おじさんの腕をひねり上げたんだ。


……やっぱり強いんだね。