龍牙は何も言わずに、ただ平然と小説コーナーを見てる。
もしかして、庇ってくれたの……?
龍牙から伝わってくる温かさはまるで、大丈夫だよって、言ってくれてるようで、すごく安心した。
そして、龍牙との距離の近さに、私の胸がドキドキと音をたてる。
仕事中なのは分かってるけど、この温かさを、ずっと感じていたい……そう思ったんだ。
「……見つけた」
不意に龍牙が呟く。
見つけた?
「犯人いたの?」
「まだ決まった訳じゃねぇけど……あやしい」
龍牙の目線の先を追って行くと、そこには30くらいのおじさんが、周りをチラチラと見ながら本を選んでいた。
確かに、怪しい。