どこ行った、アイツ。



「龍牙、店長に挨拶したかー?」


車を停めに行っていたマサが、遅れて店に入ってきた。


「今から行く。その前に千愛実探してくる」


店内を歩いて探すと、雑誌のコーナーに千愛実はいた。



……アイツ。



俺は千愛実に歩み寄ると、後ろからバシッと頭をはたいた。



「痛っ……龍牙!」


龍牙!

じゃねぇよ。


「お前、勝手にどっか行くんじゃねぇよ」

「だって、今日新刊の発売日だったから……」



知らねぇし。

後で買えよ、そんなもん。


「行くぞ」

「え、あ……待ってよー」



俺は千愛実の手を無理矢理引っ張って、店長に挨拶をすませてからマサの元に戻った。