「……大丈夫だ」
俺はそう言って千愛実の頭に手を置いた。
千愛実は小さく頷くと、少しだけ強く俺の袖を握る。
男達が通り過ぎるのを確認し、千愛実に声をかける。
「もう大丈夫だ」
「ありがと……」
そっと掴んでいた手を離した千愛実は、まだ少し震えていた。
「男、嫌い?」
「嫌い……とかじゃなくて、集団でいる男の子が怖いの……」
嫌いじゃなくて、怖い……か。
しかも集団でいる男。
いつも笑ってる千愛実が、こんな風に怯えるなんてな。
女子校だから、男に免疫がないせいなのかもしれない。
俺はこの時そう思っていた。



