「……メアドとか、交換したわけ?」
「まぁ、相談したいっつーから、一応。この間メールした」
坂井はメアドを教えても、しつこくメールしてこない。
メールしても、1、2回やり取りするだけだから、楽なんだ。
「まぁ、お前が誰と仲良くしようと関係ないけどさ。坂井と互いの傷を舐め合ってても、前に進めないんじゃねぇの」
「……」
わかってる。
わかってるよ、んなこと。
でも、俺の傷が女によって傷ついたものなら、それを癒してくれるのも、同じ痛みを知ってる女だけだと思うんだ。
「坂井とメールとかしてること、千愛実ちゃんには言わない方がいい」
なんで、あいつがでてくるんだ?
そんな俺の気持ちを読んだかのように、愁季は言った。
「千愛実ちゃん、本気で龍牙のこと好きみたいだから。坂井のこと知ったらすごく傷付くと思う」
俺はべつに千愛実が傷つこうが関係ないけど。
愁季の惚れてる女が千愛実の親友だからな。
俺は無言で小さく頷いた。



