彼にビビッたのか、男の子たちは壁に寄って道をあけた。



彼はため息をつくと、何事もなかったようにスタスタと歩いていく。




その後ろ姿を見ながら、私は、ドクン、ドクンと音をたてる胸をおさえた。


そして思ったんだ。


あの人こそ、運命の人だ!!って。





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「ね?絶対運命の人だと思わない!?」


「知らんわ!!」




なんで分かってくれないのかなぁ……。




「だいたい千愛実、男に興味なかったじゃん。告られても一度も付き合ったことなかったよね?なんで運命の人だと思うわけ?」




南波はブラウンのショートヘアの髪を耳にかけながら言う。




「んー……。私にもよく分からないんだけど、今までの男の人には、特にドキドキも感じなかったんだよね。だけど、その人を見たとき、もうドキドキが止まらなくて……。この人しかいないって、すぐに思ったの」





忘れられない。

あの凛とした少し冷たい目をした彼の顔と、惹きつけられそうなあのオーラ。




絶対、運命の人だって。