「本気だよ…。だから、今日はお別れのデートに誘ったの」
龍牙は何も言わずに私の話を聞いている。
それが、少しだけありがたかった。
詰め寄られてしまえば、私は本当の気持ちをぶつけてしまうだろうから。
「今までありがとう、楽しかった。大好きでした」
私は泣いてしまいそうになるのをグッと堪えて、走って公園を出た。
大好きでした。
もう、過去形にしなければならない。
公園を出た瞬間、スイッチが切れたように涙が溢れた。
一生に一度の本気の恋は、ハッピーエンドではなかったけれど。
悔しさと、苦しさでいっぱいだったけれど。
それでも、私は幸せだったと心の底から言えるよ。
「ふぇ…っ」
ありがとう、さよなら。



