side 千愛実




龍牙がお父さんとのわだかまりを解いた数日後。



私は家のリビングに入る前に、大きく深呼吸をした。




私も、伝えなきゃいけないことがある。



よしっと気合を入れて、ドアを開けた。




お母さんはリビングで夕飯の準備をしていて、お父さんはコーヒーを飲んでいる。




「千愛実、そろそろできるからお箸用意してー」



「うん……。あのね、お母さん、お父さん」




私の問いかけに、母は使い終わった食器を洗いながら、「なにー?」と言った。