その為にも……。
私は龍牙くんの元へと歩いていった。
「あれ、千愛実ちゃんどーしたの?」
返事の変わりに愁季くんにニコッと笑いかけてから、龍牙くんの正面に立った。
「……」
龍牙くんはとくに気にした様子もなく、ただ無表情で私を見る。
ただそれだけのことなのに、胸がドキッとする。
「龍牙くん!」
「……?」
「私、龍牙くんが好きです!会ったばかりで何言ってんだコイツって、思ってるかもしれないけど……でも、この気持ちは本物だって自分でも分かるから……だから……」
私はぎゅっと手に力を込めた。
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