諦めなくてよかった。
怖かったけど、真っ直ぐにぶつかってよかった。
私、ちゃんと彼女だよね?
「千愛実、左手出して」
「?」
左手を差し出すと、龍牙は私の薬指に指輪をはめた。
それはさっき、射撃でとったシルバーのペアリングだった。
「よかった、サイズぴったりだな。俺もピッタリだったんだよ」
ほら、と左手を見せた龍牙の薬指には、同じシルバーのリングがあった。
「すごい……サイズがピッタリなんて、キセキだね!」
「だな。後で店に行ってイニシャル彫ってもらうか?」
「うん!」
二人で笑いあったそのとき、大きな花火が打ち上がった。
「わぁ!綺麗ー!」
「千愛実」
星が輝く夜空に、夏の花が咲く。
その夜空の下で、私達は優しいキスをした。



