side 千愛実



「花火大会行くよね!?」


「うん?」




南波が興奮気味に私を誘ったのは、花火大会まであと3日と迫った昼下がりのことだった。




夏休みに入ってゴロゴロとベッドでくつろいでいたところに、南波から電話がきたんだ。





「そりゃ、行きたいですが……」




毎年南波と行ってたけど、今年は愁季くんがいるだろうし。





「だから、愁季と龍牙くん誘って行こうよ!」




龍牙と花火!?




「行きます!行きます!絶対行きます!!」




龍牙と花火が見られるなんて、こんなチャンスめったにないよ!!




「決まり!じゃあ、あたし連絡しとくから。千愛実はこの間買った浴衣来ておいでよ。あたしも着てくし!」



「分かった!ありがとー!」





通話を切って、早速クローゼットを開けて買ったばかりの浴衣を取り出した。




白い記事にピンクで蝶がかかれた浴衣。


これは南波が私にピッタリだと言って選んでくれたもの。




ちなみに南波は藍色の朝顔がかかれた浴衣。

綺麗系な南波にピッタリだと思って、私が選んだんだ。




楽しみだなぁ。


そういえば、夏休みに入ってから龍牙と会うのは二回目なんだよね。



2日前に店であったけど、仕事中だったらしく、あんまり話せなかったから……。


また万引き犯を捕まえる仕事だって。





だけど、花火大会の日はもっと話せるよね!