「わ、私、諦めなきゃいけないんだって思ったんだからね!?
近くにいたいけど、いちゃいけないんだって……だから……っ」
どうしよう。
止まってた涙がまた出てきちゃった。
これで龍牙に私を否定されたら、もう立ち直れないかも……。
涙を拭っていると、私の体がフワッと温かいものに包まれた。
え?
その温かいものは、龍牙で……。
私は龍牙に抱きしめられていたんだ。
え?え?
ずっと私が抱きしめていたから、自分が抱きしめられることになるなんて初めてで、どうしていいか分からない。
おまけに心臓がドキドキして、顔が熱くなって……。
「お前ってホント、真っ直ぐだな。でも、勘違いさせるようなことして悪かったな。正直、お前が来なくなって少し寂しかった」
ウソ……。
ゆっくりと私を離した龍牙は、「赤くなり過ぎだし、固まりすぎ」と、私の額を人差し指ではじいた。
その仕草にもっとドキドキして。
私、期待してもいい?
出会ったときよりも、龍牙にちかづけてるって、そう思ってもいい?
龍牙の中に、私の存在があるって思ってもいい?
「帰るぞ」
「うんっ」
好き。
大好き。
今日、私は龍牙がもっと大好きになった。