門から出てきた龍牙の隣には、あの女の子がいた。
その姿はやっぱりお似合いで。
龍牙が時々微笑んでいる。
そして思った。
私はバカだ。
いつも一人で出てくる龍牙を見て、もしかしたら、彼女じゃないかもしれないと少し期待してた。
バカだ。
何を期待してたの?
無意識のうちに、私は自分が龍牙の特別だと思ってたのかもしれない。
そんなわけないのに。
「っ……」
私、何してるんだろう……。
木の影から飛び出して、私は走った。
もう終わりにしよう。
見に来るのも終わりにしよう。
好きだという気持ちは変わらないけれど、見に来たって虚しくなるだけだ。
心の中で想っていればいい。
拭っても拭っても溢れる涙を流しながら、私は走った。