side龍牙




なんだ、この感じ……。




体育の授業中、俺はここ最近ずっと感じていた違和感に悩んでいた。




何か自分の一部が欠けたような、そんな感じがずっと続いている。





それと気になるのがもうひとつ。

ずっと誰かの視線を感じるんだ。





視線を感じるだけで、何もないんだけど。





「龍牙、どした?」




隣でバスケットボールを人差し指でクルクルと回していた愁季が、俺の顔を不思議そうに覗き込む。





「別に」


「ふーん……」



「……なんだよ」



「別にー。ただ、最近千愛実ちゃんが来ないから寂しいのかなぁ〜?って思っただけ」





何言ってんだ、コイツ。





「そんな訳ねぇだろ」





確かにここ二週間アイツを見てない。


けど、なんで俺が寂しがんなきゃなんねぇんだよ。




「そうですか。でもホント、千愛実ちゃんどうしちゃったんだろうな?パッタリ来なくなっちゃって」





愁季が瀬田に聞いても、はぐらかすだけで何も教えてくれないらしい。