「あれ?龍牙、千愛実ちゃんがいない」




坂井を見送ってから、愁季が気づいた様子で言う。





千愛実?





そういや、いつもなら真っ先に飛びついてくるはず……。





「おかしいな。南波が来るっていってたんだけど」



「何か用事がはいったんじゃねぇの」



「そっか」






この時は、ただそう思っていた。



けどそれ以来、千愛実は俺の前に姿を見せることはなかった。