「ねぇ、龍牙くん……私頑張ってみる。逃げてちゃダメだよね」



「そっか。頑張れ」




坂井も一歩前に進もうと頑張ってる。

俺も、このままじゃダメだ。



……親父とも話さなきゃな。




けど、そのタイミングが分からない。

長い時間、母親のことを話さずにきたから、今更どう切り出していいか分からない。



このままじゃいけないことは分かってるんだけどな……。





「龍牙くん、後でメールしてもいい？」


「ん。いつでもどうぞ」





ポンと坂井の頭に手を置くと、ほんのり頬を赤らめて笑い、坂井は帰って行った。