五時間目が終わった後の休み時間、愁季がいきなり携帯を見て嘆いた。




「今日南波こないってー!!」




愁季はガッカリしたように肩を落とす。


瀬田が来ないってことは、アイツも来ないってことか?




そんな俺の心を読んだように、愁季が言う。




「千愛実ちゃんは来るみたいだぜ。よかったなー、龍牙」




嫌味っぽく言うなよ。


つか、別に良かったなんて思ってねぇし。




「お邪魔虫は帰ればいいんですよねー?分かってますよーだ」




何も言ってねぇだろうが。





いじけた愁季はそのまま机に伏せて寝始めた。




あーあ……こりゃ六時間目起きねぇぞ。





それから放課後になった。

愁季と一緒に教室を出ようとした俺に、坂井がついてきた。




「校門までいい?話したくて」



「別にいいけど」



「ありがとう!」






ふわりと笑った坂井に、少しドキッとした。



何ドキドキしてんだ、俺。




けど、それと同時に頭の中をよぎったのは、アイツの笑顔。





……なんでアイツの顔なんか……。