ゲームセンターに行くことになって、私たちはさっそく歩き出す。
その行く途中。
「ねぇ、千愛実」
南波がこそっと、私に言った。
「なにー?」
「私さ、あの二人の名前、どっかで聞いたことある気がするんだよね……。特に、あんたが好きな、矢吹龍牙の名前」
え?
聞いたことあるの?
「どこで!?」
「んー……分からないけど、聞いたことがあるのは確か」
有名人……なのかな?
でも、あのカッコよさなら、有名人なのも納得がいく。
実際、前を歩く二人を見ると、女の子たちが視線を送っている。
モテるんだね……やっぱり。
でも……。
「絶対、誰にも渡さないんだからーっ!!」
「ちょっと!いきなり叫ぶの止めなさいって!!」
「ご、ごめんごめん」
渡さない。
龍牙くんは、絶対に渡さないんだから。