しばらくして、千愛実の様子が落ち着いてきた。
「大丈夫か?」
「うん、ありがとう」
ニコッと、いつものように笑う千愛実を見て、少しホッとする。
「お前、何であんなに気持ち悪そうだったんだ?」
「えっと…………そう、バスに乗ったら酔っちゃって!」
あはは、と笑う千愛実が不思議に思ったけど、特に気にしなかった。
「気を付けろよ?」
「うん」
そのあとすぐに、マサから「早く戻ってこい」電話が来て、千愛実と別れた。
……あいつ、大丈夫か?
俺が他人の女を心配するなんてな……。
やっぱいつもの俺じゃねぇ……。
そんなことを思いながら、俺は帰り道を歩いていった。