「どうした」 一歩踏み出した足を戻し、千愛実の前にしゃがみ込んで聞くと。 「い……行かない、で……」 「!」 今度は、ちゃんと聞こえた。 片方の手で俺の服を掴み、もう片方の手で溢れる涙を拭いながら、必死に俺に訴える。 だけど……。 「千愛実、水買ってくるだけだ」 調子が悪いんなら、少し水分を取った方がいいだろ。