「少し休め」 「あり……がと……」 千愛実は鞄からハンカチを取り出すと、それを口に当てた。 何か飲み物でも買ってきた方がいいか……。 「千愛実、少し待ってろ」 そう言って一歩踏み出した時、後ろから服の袖を引っ張られた。 「千愛実……?」 「…………ないで……」 弱弱しく呟かれた言葉は、よく聞こえない。