「千愛実?」 「あ……龍、牙?」 抱きとめた千愛実は、力なく俺を見上げた。 どうしたんだ、こいつ……。 こんなに弱り切った千愛実を見るのは初めてだ。 「どうした?」 「気持ち悪くなっちゃって……」 見れば、千愛実の顔色は真っ青だった。 とりあえず、座らせた方がいいよな。 「千愛実、こっち。歩けるか?」 「うん……」 人通りの少ない場所に千愛実を連れ行き、道端に設置されていたベンチに座らせた。