「千愛実ちゃん、よかったね。恋をするのも、前に進むための一歩。
恋は色んなことを教えてくれるわ。それが苦しいことでもね。頑張ってね」
野崎先生の言葉にコクンと頷き、私は病院を出た。
帰り道、バスに乗っていると、南波から電話がきた。
鞄から携帯を取り出し、電話に出る。
「もしもし、千愛実?何もなかった?平気?大丈夫?」
「大丈夫大丈夫、何もなかったよ。心配し過ぎ!」
南波はあの日以来、私に対して過保護になった。
帰りは用がない限り一緒に帰るし、私がこうして一人で帰る時は、必ず電話をしてくる。
でも、南波がいなかったら、私はここまで立ち直れていなかったと思う。
本当に優しい友達が側にいてくれて、私は幸せ者だ。



