千愛実が手に持っているアイスは、バニラソーダとレモンスカッシュのアイス。




「お前、甘いのがよかったんじゃねぇの?」



「んー……暑いし、サッパリしたやつのがいいかなって。龍牙も一緒に食べられるしね」




……やっぱ俺のためか。




「龍牙、溶けちゃう!早く早く!」




千愛実はアイスをすくったスプーンを、俺に差し出す。




少し戸惑った後、俺は千愛実が差し出したアイスを食べた。



口に含んだ瞬間、しつこくない甘さで、サッパリとしたソーダの味が広がった。



あ……ウマイ。




「どう?美味しい?」


「ん」




俺の返事に、千愛実が「よかった」と言って、満面の笑みを俺に向けた。