「龍牙、今日仕事じゃないんでしょ?」
「……なんで知ってんだよ」
千愛実にそう言いながら、思った。
俺、今……無意識に返事した……。
いつもなら、こんなことで返事なんてしない。
今日だって、クラスの女に話しかけられても、いつも通り無視してたのに。
顔には出さなかったが、内心は戸惑っていた俺に、千愛実は気にした様子もなく続けた。
「さっき愁季くんに聞いたの。このあと暇?」
「どっか行きてぇとか言うんだろ」
「何で分かったの!?」
「お前が考えそうなことって、そんくらいだろ」
って……俺普通に喋ってんじゃねぇか……!
こんなの俺じゃねぇ……。