それは中学の卒業式を一週間後に控えた、良く晴れた日だった。 北国では雲ひとつない快晴の日ほど気温が低い。 寒さが体の芯に突き刺さるそんな日だった。 「伸也。話がある」 何ヶ月ぶりだろう。 父さんに話しかけられるなんて。 「出かける」 「待て」 いつもならしつこく引き止めたりはしない。