こんな風に俺は“家族”というものに恵まれない幼少期を送った。 “愛情”や“優しさ”なんてものからも遠い世界にいた気がする。 でも、これから先の人生に比べたらこの頃の寂しさなんて可愛いものだったんだ。 だって、この時の俺には帰る家というものがあったし、帰ると明かりのついている場所が“お帰り”と静かに囁いてくれていたから。 俺はこんなちっぽけな安心さえも奪われてしまう。 実の父親の手によって……