俺には年の離れた兄貴がいた。 兄貴はずっと父さんに引き取られていたからお金には不自由しない生活を送っていたけれど、兄貴だって何かが足りなかったんだと思う。 俺なんかよりずっと前に非行の道へと走っていった。 そんな兄貴の後姿を追うかのように、俺も後へと続いたんだ。 周りとは違う事をしている自分が格好良かった。 “悪い”と言われることは“強い”ことだと勘違いしていた。