レイカは卒業も何も死ぬまで、この街から抜け出せないんだ。 もし、抜け出したとしても代わり映えのしない生活が待っているだけ。 「何よ?」 「なんでもない」 「いい顔つきになったわね」 「レイカに言われると素直に喜べねぇ」 「何よそれ。康にも見せてあげたかった。シンの姿を……きっと喜ぶわね」 どうして、急にそんなこと言うんだよ? 見たことがないくらい優しい表情のレイカに見つめられながら、再び目頭が熱くなる。