「何で泣くんだよ?」 そして、しがみついたまま涙を流した。 「伸也さんの顔見たらホッとした」 「ガキみたいな奴だな」 こんなふうなやりとりはいつぶりだろう。 外は氷点下だというのに、体の奥がポカポカと温かい。 「亜美、一人でよく頑張った。大人になってきたな。何だか寂しい気もする」 そう言いながら、頭を撫でると、止まらなくなる亜美の涙。 俺はこれから、もっと亜美を泣かせることを言わなければいけないのに……