「降ろせ」
玄関に響く俺の声に佑の動きが止まる。
亜美が佑の腕の中で震えている。
俺は咄嗟に亜美の体に触れた。
「伸也さんには関係ねーだろ!!」
あからさまに威嚇してくる佑を今は構ってなどいられない。
「亜美が怖がってる。降ろせ」
「あんたは亜美を散々傷つけて、そんなこと俺に指図できる立場じゃねーだろーが!!」
確かにそうだ。
けれど、脅えている亜美に気付きもしないお前にそんなことを言われたくねぇんだよ。
「黙って聞いていれば、調子にのるなよ」
「そんな声出されても、引く気ないっすよ」
「亜美の左手知ってるか?」
俺は冷静に佑に語り掛ける。
俺までが怒鳴り声をあげれば、亜美の震えは止まらない。


