そこまで、一気に話した亜美は呼吸が段々と荒くなってゆく。
「亜美、ゆっくりでいい。時間はたっぷりある」
「うん。でも、一気に言わないと言えなさそう」
苦しそうな表情を隠すように、口角を上げようとする亜美が痛々しくて、俺は頭を撫でた。
すると、大きく息を吸い再び口を開く亜美。
「祐の家に行くのも、気が進まなかった。でも、甘えてばかりだったから、断れなくて……今日、祐と祐のお父さんが迎えに来た。それを見て祐には理解できないって思った。幸せな家族に劣等感を感じた。そしたら、もう心の中がグチャグチャで走り出してた」
「そうか」
亜美の言っていることは、わかる気がする。
家族というものに恵まれていない俺達にとって、温かな家族を見ることは辛い。
仲間がいる。
愛する人がいる。
それで大半のことは埋められるが、やはり家族とは違う。
どうして自分には……?
という卑屈さが出てしまうんだ。
ましてや、亜美はそんな温かな家族とこの先暮らさなければいけないんだ。
逃げ出したくなる気持ちはよくわかる。


