「亜美、何があった?」
再び涙が流れる頬。
「亜美、話してみろ」
話を聞いてやるくらいはいいよな?
「私……伸也さんが好き。伸也さんを信じられなかった私がこんなこと言っちゃいけないってわかってるけど、私……私は伸也さんがいないと生きていけない」
予想もしていなかった亜美の言葉が、俺の脳内に響き渡る。
冷静さを保つためにタバコに火をつける。
相槌さえ打てないほど、俺は動揺していた。
「でも、もう伸也さんの側にはいれないって思った。だから、一人で頑張ろうとした。そんな時に祐が支えてくれるって言ってくれたの。でも、祐に恋愛感情はない。それでもいいって言ってくれたけど、私の心にはいつも伸也さんがいた」
「腕はそれが原因か?」
この間、会った時から気づいていた亜美の手首の傷。
目を背けたくなるような、その傷が俺の裏切りのせいならば……
俺は亜美を手放すことなどできない。
「これは…切ったら、祐が悲しむから切らないようにした。でも、出来なかった。余計に悪化した。祐は私に優しくしてくれた。だから、私も悲しませちゃダメだって思ってた。でも、今日それが違うってわかったの」
「何がだ?」
「祐は優しい。私を受け入れてくれるって言った。でも、祐には私を理解できない」


