バース(アイシテルside伸也)


「何してんだよ」



現実ならば、こんな所に1人で来るなんて、危なすぎる。



「…………」



何も答えない亜美を見て、やはり幻覚なのか?とやるせない気持ちになる。



消えないでくれ……



幻覚でも構わない。



もう少しだけ亜美との時間が欲しい。



「行くぞ」



俺は消えなかった亜美を大切に抱え、マンションへと入った。



部屋の中に亜美を入れ、今起きていることが現実だと確信する。



気付きたくはなかったが、俺の携帯には佑からの着信が……



「祐が心配してる。連絡するぞ」



亜美に背中を向け、携帯のボタンを押した。



すると


「イヤッ!!」


と大声で叫ぶ亜美。



俺はゆっくりと亜美の方へと振り返り、宥めるように背中を擦った。