退院の手続きを終え、俺の車の助手席に乗り込んだ亜美を複雑な気持ちで見つめた。
「すべてを話す」
亜美にはすべてを話さなければいけない。
それが俺にしてやれる最後の償いだ。
「うん」
俺の話の内容など、一切知らないはずなのに覚悟を決めたように吹っ切れた表情で力強い声を出す。
「どこで話す?」
「どこでもいい」
「じゃあ、俺の部屋だ」
もう俺には亜美の気持ちを支えてやることなんて出来ないかもしれない。
それでも、亜美が泣ける環境を作ってやりたかった。
傷ついたと素直になれるように二人きりになりたかった。
亜美は人前で涙を流すことを嫌うから……


