病院の裏手に着くと、こたぁが血相をかけて俺に駆け寄ってくる。
「伸也さん!!亜美が捕まったって」
「どういうことだよ?」
亜美は祐と共に溜まり場にいるはず。
たった今それを確認したばかりなのに……
「亜美がこの近くをウロウロしてたみたいで、奴等に捕まったって。動くなって言われてたから、どうにもできなかったみたい……」
俺はこたぁの言葉を最後まで聞かずに、倉庫へと向かった。
「行くぞ!!」
こたぁが仲間を連れて俺の後についてくる。
ガラガラガラ
重たい倉庫の扉を勢いよく開き、「亜美!!」と愛おしくてたまらない名を呼んだ。
そこにはボロボロになった亜美が胸ぐらを捕まれて足が宙に浮いている。
亜美の胸ぐらを掴み、拳を振り上げているのは亜美の義理の父親、境だった。
「てめぇ!!誰の女に手あげてんだ?!」
「君が有名な伸也君かい?」
俺を視界に入れた境は不敵な笑みを浮べ、拳を降ろした。
そして、「動くな!!」と叫ぶ境。
ふざけた真似してんじゃねぇよ。
俺は前のめりになっている体を必死に抑える。
俺が動けば亜美の首元で光るナイフが亜美の皮膚に食い込むだろう。


