今にも壊れてしまいそうな亜美は唇を噛み締め、何かを言おうとする。
震える唇がゆっくりと動き出そうとしていた時……
俺の耳元で「あいつ等が姿を見せました」そう囁かれた。
今回の件で動いてもらっている奴の一人が、タイミング悪くことが動き始めた事を報告してきた。
「行くぞ」
俺は亜美の言葉を聞く前に立ち上がった。
亜美。
ごめんな。
今はこっちが先だ。
すべてのけりがついたら、お前の話をゆっくりと聞かせてくれ。
俺の後に続く大勢の男達の中で祐の姿を確信した俺は「お前はここで亜美の側にいろ」と突き放すように、祐を遠ざけた。
今、亜美を支えてやれるのは祐しかいない。
亜美。
耐えてくれ。
お前の心がもう限界なのはわかっている。
その手首についた赤い線も気付いている。
でも、俺は行くしかないんだ。
お前の心よりも、あいつ等を追う事を選んできたんだ。
ここで足踏みしてるわけにはいかねぇんだ。


