亜美は真剣に名刺と睨めっこをしている。
「兄貴に連絡するのは、どうしてもって時だけだぞ」
亜美は兄貴に連絡をすることはないとわかっていたけど、念のため釘を刺しておいた。
兄貴はもう深く関わってはいけない世界の人間だ。
中学を卒業した兄貴は俺と同じようにこの街に来た。
そして、喧嘩が強い事を買われ裏の組織へと引き込まれるようにして入っていった。
兄貴の消息を教えてくれたのは康さんだった。
別に会いたくなかったけど、兄貴と会わせてくれた康さん。
そして、兄貴の置かれている状況を事細かく説明してくれた。
“この世界にいるといつ何があるかわからねぇ。会えるときに会っておけ”
兄貴との再会を拒んだ俺に康さんが言っていた言葉の意味。
今ならわかる。
兄貴は東京で康さんの組の一員として動いている。
だから、めったに会うことはないけれど、会えるときには会おうと思う。
康さんの意志を引き継ぐためにも……


