「何もない」 「じゃあ、こんなことするな」 亜美に何もなかったことに心から安心した俺は思い切り腕の中にいる亜美を抱きしめようとした…… すると、亜美はスルリと俺の腕からすり抜け、渡ってきた道路をもう一度駆け抜けた。 再び鳴り響くクラクション。 「亜美、ふざけてんのか!!」 クラクションと同時に大声をあげる俺に亜美は振り返ることもしない。