バース(アイシテルside伸也)



車のクラクションとブレーキ音の中、必死に亜美へと手を伸ばす。



間一髪で間に合った。



思い切り亜美を抱きしめた俺は歩道のほうへと転がった。



「死にたいのか?」



抱える亜美の顔を覗きながらそう問いかける。



その途端に、小さな子供のように泣きじゃくる亜美。



俺は亜美の頭を撫でながら「危機一髪!!」と拳を頭の上に掲げる。



俺の言葉に静まり返っていたギャラリーは大いに盛り上がる。



挑発した俺も俺だけど、こんなことで盛り上がるなよ。



命のやり取りでしか騒げないあいつ等に悲しくなる。