あの日は、両親の結婚記念日だった。
懸賞で、高級レストランの招待券だ当たったから、それに二人で行った。
そして、その途中で事故に遭ったのだ。
両親は車で出掛け、大きな交差点を通った。
その時に、大型トラックが、両親の車に突っ込んで行ったらしい。
両親はほぼ即死。
トラックの運転手は、病院に運ばれ、治療を受けたけれど、打ち所が悪くて亡くなってしまったそうだ。
おそらく、運転手は長距離運転していたため、居眠りか、信号を見誤るかしてしまったんだろうと、警察の人が言っていた。
私が連絡を受けて病院に行った時には、両親は傷ついて、冷たくなっていた。
あまりのあっけなさに、私にはまず悲しいとか思う前に、放心していた。
人が死ぬということの意味を思い知らされたから……
お父さんも、お母さんも、もう二度と目を覚まさない。
二人のことは、私の中にしか存在しなくなる。
お母さんの明るい話し声も、お父さんの優しく微笑む表情も……
ああ、そうか……
凪の笑った顔は、お父さんに似てるんだ。
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