夏月一会

私達は浜辺に行き、砂浜にレジャーシートを敷いて、そこに海と向かい合うようにして座った。


凪君は、スケッチブックを持って来ていた。

海の絵を描くらしい。


早速、凪はスケッチブックを開いて、鉛筆を動かし始める。


私は特にすることがなく、足元の砂を弄んだ。


手の平にすくったり、こぼしたり……

それはまるで砂時計のように思えた。


その時間が流れるのは早かったのか、遅かったのか、分からない。

でも、確実に流れ過ぎていくのは確かだった。



強い風が吹いて、手の平の上の砂が自然に流れていく。


その風で髪が乱れそうになって、私は髪を押さえた。



ちらっと凪の方を見たら、目が合った。


凪がじっと私の方を見ていた。


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