夏月一会


「綺麗な人だね」

私は絵を見て言った。


その絵の中の人は、儚げな雰囲気で、端整な顔を優しく綻ばせて笑っていた。

美しいという表現がよく似合う人だと思った。


「いつも、そんな顔で僕のことを見ててくれたんだ」

凪も微笑んでいた。


「そう……」

私は、この絵と凪の表情を見て、ふと凪の容貌について、気がついた。


凪は、母親似なのだと思っていた。
初めて凪に会った時、伯父に全く似ていないと思ったからだ。


でも、こうして比べてみると、母親にそれほど似ているということでもないみたいだ。

凪も伯母と同じように、綺麗な顔をしていて、雰囲気は似ていると思う。
笑った顔が優しいというのも同じだ。


同じだけど…どこか違う。
どこか、似ていない。


どこが……
あ、そうだ。目だ。それと、口。

笑った時、凪は目が細くなるけど、伯母は目尻が下がるだけでそうじゃない。

それから、凪の方が唇が薄い。

あと、凪は笑うとえくぼができる。



こういう人、知ってるような気がする。

私は凪の顔を見て思った。


誰だっけ…こういう笑い方の人……


私は、じっと凪の顔を見つめた。


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