凪の死は、『代議士松本慶一の子息死去』と新聞の訃報の欄に載り、テレビでも取り上げられた。


凪の葬儀に、私は親戚として参列した。

本当は、あの一件で凪に関わるなと言われた私は、ここに来ていいはずはなかった。

しかし、それを柳さんが伯父を説得してくれたのだ。

それで私はここにいることができる。



他に葬儀に参列していたのは、実際には凪と面識なんてなかっただろうという伯父の仕事関係の人が殆どだった。

親戚という立場の私と顔が合うと、心にもないことが丸分かりの弔いの言葉を並べてくる。

私はそれをやり過ごすのに忙しくて、伯父も報道陣に囲まれてそれを捌くのに手一杯のようだった。



あれ以来、葬儀の最中でさえ、伯父とは顔を合わせず、言葉も交わさなかった。


でも、凪の死のせいか、あの伯父にも物悲しい雰囲気が漂っているように見えた。

それを見て、凪に対して、良かったとほっとしたような、寂しいような、やるせない気持ちだった。



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