どうしよ、ごまかす?





「朱鳥でいいから、呼んで欲しいんだ」



「……」





 この人、やっぱ

 美里の選んだ男だ。



 アナドレナイ……。



 あたしは

 少し視線を外して考える。





「……」





 今さら

 ごまかしても仕方ない。





「……わかった」





 ゲームでは勝ったのに

 負けたような感じ……。



 朱鳥くんは

 ホッ、としたように

 目を細めて笑った。





「ありがとう」





 オールを持った手が岸へ戻るために動き出す。



 凹んでたのがウソみたいに

 ニコニコしている。



 どうしてだろう?

 勝った気がしない。





「……」





 何でだろう?





 ん~

 クヤシイなぁっ!!